昔好きだった人に告白されて 次の日取り消された 女子高生の話。

昨日は、月がオレンジ色の満月で
わたしが、まるで蛍光灯のひもを何回か引っ張った時の電球みたいだね と言った
手をつないだときはふたりとも寒さで感覚がなくて
これはだめだねとふたりして笑った
手をつないで歩く道は
全く別物とまでは見えなかったけれど
浮気してるよ、どうするのと言われて
そんなこと何も気にしなかった
見つめ合って時間が経って、ふたりして思考回路が停止して
好きだ、と思った

「きっと好きになると思う」と 伝えてしまえばよかったと
きっとそんなことを言っても何も変わらなかったと思っても
少し前を歩く 少し緊張したあの背中に触れればよかったと
あの冷え切った手をもっと強く握りしめればよかったと
好きだ、と 伝えればよかったと
思うことは不思議と全部後悔ばかりで
取り消しの言葉が言われるなんて

酷いよ、と 頑張らないで言ってみたくても 
あんな少しの時間だけでつくられた関係でも
好きだよと言われたときの嬉しさと
好きだなって思ったときの感情と
私だけの男の人になってっていう素直な感情が
いつも通りの私にしてしまう
ああ、もう、本当に私は昔から恋愛に必死だ。
自分に呆れる。

きっと、彼は私と波長が合わないと思ったのだろう、 な。
そこが決め手ではないと思うけれど
大人だね、と言われた。
私も彼が少し子供だと思った。

わたしがしたくて 
わたしが大人になりたくてしたことが
後悔になってしまって、少しだけ悲しい

私があの人のことを好きだったとき
はやく私も大人になりたいと
釣り合うような女性になりたいと
無意識に思っていて
あの人の隣に立ちたいと どんなに強く望んでいたかな、と そればかり思いかえしている
きっと今もそれが続いているのかな、 と思ってすぐに、違うなと思った
もうその気持ちが習慣になって 性格として自分自身の価値観にこびりついて
もう取り除けないものになってしまったんだ、
きっと。

はぁ。

処女か、と聞かれて
ああもう、そんなこと聞かれるんだと思った
誰かと聞かれて 嫌だと言えなかったんだ
いつもの私が出てきてしまったから
やめてと言えず、言わず
 好きと言われてすぐ自分もその人に惹かれ
その人自身のことを見ようとしなかった昨日の私のくせに
そんなことを考えて、 言ってしまうから
大人だねなんて言われてしまったのかもしれないのに

今の恋人とちゃんと話をして お別れをしようなんて考えてもいなかった
「別れちゃいなよ」と言われて 
初めて別れを意識したのかもしれない

はあ、私はいつだってこういうときは
人に言われて行動するんだきっと
そんな自分は嫌いじゃないけれど
あ、人に合わせてるのではないのだけれども

ああ、もう彼と
手を繋ぐことはないのかな
彼が大人になったとき
思い出すのはきっと私なのではないのかなと思う
自分で言うのもあれだけど、という言葉は
今まで生きてきた中で、きっと私は
散々言ったんだろうな、と思う

友達に相談しているとき
私自由すぎるのかな、と 言うのは好きだ
そうでありたいと 今までも
これからもずっとそうありたいと思っているから


それでも、また私のことを好きになってくれる日が来ると
勘の鋭い私が思うのだから、願うから
楽しみに待っているね、

それまで私は恋でもしているよ。

またふたりが大人になったら、
またふたり恋をしよう。





もしこんなの見られたら恥で死ねる。