ギブス

わたしは、わたしは、もっともっと、音楽をきこう、

椎名林檎の、ギブスを聞いた。わたしは、まだまだこんなにも未熟で何も知らない世間知らずで、自分を持つことさえ分からなくなることも、恋をするのも人を愛すことも、全部全部、全部なんにも、わからないんだ。自分の中でずっと生きていた当たり前が、ほかの人に壊されていって、それはほかの人にとっての当たり前であるから、それにふれるのがわたしはいちいち痛いほど温かくて、温かすぎて、それでいてふれられるのがほんとうにほんとうに怖くて また肩も体も声も震わせて、泣くんだ、ひとりで誰にも言えず泣く夜がある私は、そんなふうに誰かを想うことだけで十分だと、それがほんとうに幸せなんだろうとおもう。わたしは、わたしにしかわからないし、だれもわたしのことなんて、きっとわからないんだろう、わたしはそんなことを毎日かんがえて毎日自分の当たり前の中で生きている。ほかの人の当たり前にふれることも、自分を知られようとすることも 優しくされることもぜんぶが怖い。そばに来て欲しくて、そばにいたくて、ずっとずっとそばにいて欲しくて、ほんとうは、ほんとうはひとりは嫌だって、いつか共に、誰かいつかわたしとともに、生きて欲しくて、その人に出会うまでは、わたしはひとりでがんばるから、ほかの人の価値観に傷付いて、無神経な言動も欲望も性欲にも振り回されて、わたしを大切にしようとしてくれる優しさの温かさにもうまく甘えられず、それで涙が出てきてひとり、孤独でいられないひとりになれない環境を恐れ怖がって きっといつだってわたしは、いちばん近い落ち着けるものはいつだってきっと音楽だ。ほんとうにほんとうに大好きな人を傷付けたために傷付いて、ひとりがどうしようもなくちっぽけで惨めで、寂しくて、わたしはずっとずっと知らないままで、人のことなんて、わたしのことなんて、なんだって分からない。そんなまま生きて、強くなるから、絶対に素敵な人になるから、わたしを見つけて欲しい。わたしだけを見て欲しいとまで思うことが、わがままで欲望なのかなんて、わたしになんか分からない。わたしのことしか考えられない。期待して人の幸せで悲しみを感じて、人を想ったってそれだけのことで、それでも、それでもわたしは、それが幸せなんだよ、わたし ずっとずっとわたしはわたしに寄り添って、生きていこうね、わたし  ここにいてという言葉を、誰かに言う日が来るのかな。ぎゅっとしていてねと、言える日が来るのかな わたしは、こんなわたしは 生きている わたしは、そんな こんな歌を書くような人に、なりたい