2020.9.18

今日は、新しい友達ができた。2個上のシングルマザーの女の子。

生後二ヶ月の赤ちゃんをひとりアパートで育ててて、わたしはその二人暮らしのおうちに今日あそびに行った。二つ部屋があって、一つは赤ちゃんと一緒に寝る寝室、もう一つはキャメル吸う部屋。

初めて会ってすぐわたしの長いネイルの爪を可愛いー!!って褒めてくれて、さらさらにしてるわたしのきれいな金髪、きらきらにデコったIQOSのケース見て、自由で羨ましい。女の子っていいね。ってずっと言ってくれていた。

赤ちゃんは女の子で眉毛もまだ生えてなくて、五分おきに泣いて起きるから、お母さんわたしとゆっくり煙草吸う暇もなくて、わたしの目の前でおっぱいあげたりしていた。

生身の赤ちゃんをわたしは今まで一度も見たことがなかったんだけど、見たことないくらいきれいな柔らかい髪の毛がうっすら少しだけ生えてて、頭蓋骨の形そのままみたいな形の頭してて、肌なんて、血管とか細胞とか、中身が透けて見えちゃうんじゃないかってくらい透き通ってて、わたし生き物の皮膚をあんなにきれいだと思ったの生まれて初めてだった。

けどなんか、抱っこさせてもらったとき、その子が人間っていう、自分と同じ種類の生き物なんだと全然思えなかった。宇宙人見てるみたいだった。このいきものに、「人間としての命」が宿っているのは言うまでもなく間違いないとわかっているけど、自分と同じいきものには見えなかった。この子は人間だって分かっているけどなにか違う生き物に見えた。

踏んだりしたらすぐに死ぬんだろうなと思った。ミキサーにかけたらあっという間にぐちゃぐちゃになってきれいに混ざってどろどろの液体になりそうだった。それぐらい骨までまだ柔らかそうで、あまりにも弱体な未確認生物みたいに見えた。

赤ちゃんの、そのなんだか恐ろしい宇宙人らしさが、人間のすべての原点なんだって思って、あたまが爆発しそうになった。間違いなくこのこども、お母さんいなかったら死ぬんだなって思った。人間のいちばんさいしょのさいしょを見た。その個体ひとつだけでは、生きていけない。生き物ならば誰しもが通る当然の原点を目の当たりにした。自分はとっくに通り過ぎた通過点にすぎないのだけれど、これを通って自分もいま人間になったんだと。そのことの大きさを目で見た。

お母さんが、限りなく純度の高い愛のまなざしでこの子に話しかけているのを見てこころぶっ壊れて、泣くところを見せてしまうとこだった。真の親の姿を見た気がした。生き物としての。なんだか今まで決して見たことのないものを今日は見た。なんか、赤ちゃんが宇宙そのものくらいの規模のすごい塊に見えた。

赤ちゃんが寝てから、お母さんと宅配ピザを食べた。お金はわたしが出させてもらった。まだ授乳してるお母さんにこんな添加物の塊食べさせてしまっていいのか心配だったけど、「今日はチートデイなので!」って言っていたので食べた。部屋に、お昼に食べたらしいマックの袋もあったのでそういう日があっても大丈夫なのかなと思うことにした。このたくましいともだちとわたしはすごく趣味が合った。部屋にまっピンクのセンターテーブルがあって、これものすごく可愛い!と言ったら、前にドンキで買ったのを元旦那に車で運んでもらったと言ってた。もう別れてしまったので、買い物に行くときに車がないから不便だと。ともだちは、私の持ちもの全てを可愛いって言って、わたしのこともすごく可愛いってずっと褒めてくれた。おっぱい大きいねとか。自由で羨ましいとも、純粋に言ってくれた。わたしはそれだけは正直に「うん」って言いにくかった。「わたしはいま自由で幸せだけど、お母さんも本当はものすごく幸せなんだって知ってるよ」って思ってたけど言えなかった。

何かを持つということは、不自由になることだと思う。なにかを持って生きてくって決めることは、違う何かを持てなくなることだ。バックの中に色々入れていけば空きスペースは狭くなっていくし、両手に荷物いっぱいじゃ重たくて疲れるから。

けど自由か不自由かということは、幸せかそうじゃないかということではきっとない。こどもを持って、幸せになることも不幸になることもある。しごと、こども、夫、家族…。こういうものは、そのひとの人生の持ちものだ。人生の持ち物を自分の力ではまだなにも選んだり決めていないわたしを羨ましいと言うともだちの気持ち、苦労している彼女の背中を見てよくわかった。

それがあるかないかのところでわたしとともだちは違ったけど、このふたり家族とおんなじ時間を過ごせたことの大きい意味、骨身にこたえた。ともだちは不自由だけど、この子を産んで育てるって決めたこと、永遠の宝物を持ったことの幸せを、ともだちはちゃんとわかっているだろうなと思う。勇気を持ってそれを選んで貫き通した先の自分にしかわかんない幸せを知れるって、どんだけ幸せか。

別れ際「今日はすごい世界線をみた。」って言ったら笑われた。一緒にくったピザ、すごいおいしかった。「わたし、パイナップル載ってるピザめっちゃ好きなんですよお」って言ったら食べてみたい!って言ってくれて頼んだピザハットのハワイアン、めっちゃ美味しいー!って言いながら食べてくれててめっちゃ嬉しかったー(泣)。頑張ってるひとにたくさん笑ってもらえて心から嬉しかった。

みこちゃんも意外とすぐ結婚したり子供産んだりするかもよ!って言われて、帰ってる時にどうなんだろうなーって考えてたけど、ひとりでやりたいことまだたくさんあるから、たぶんまだまだ先だなーと思った。

けど、今日見たものののこと考えたら、憧れずにいられない。いつかわたしもじぶんの家族持ったとき、大人になった今の赤ちゃんに、じぶんの子供を見てもらいたいなと思った。もちろん、今日出会えたたくましいお母さんにも。

 

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