去年のバレンタインに書いたやつ

みんな、何が何かなんて全く、何にも分かっていないから、目に飛びついたもの、みんなが見てるものしか魅力が分からなくて、どうしようもなくキラキラして見えるんだろう。自分と比べたときの不甲斐なさや世界の違いで、どうしようもなく落ち込んで、それでも自分の好きなものなんて全く、全然分かりやしなくて、今まで必死に追いかけていたのに、大人になってとんでもなく大きい虚無感に絶望したりしてるんだろう。クラスの可愛い女の子も、それを追いかける男の子も、その逆も それを見てる悲しい愛おしいあの子も、自分が持ってないものを持ってるあの子がうらやましくて、毎日毎日、いつだって夢中になって目で追いかけて、それでただただ目を奪われてばかりの、そんなくだらない日々なんだろう。みんなが使う言葉を使って、あの娘の使うヘアクリームを買って、隣のクラスの男の子の聞いてるバンドの曲を聞いて、古い記憶で言われた言葉を何度も何度も繰り返して、チョコレートを買ったって、主観的で自分勝手な思想のままに、渡せるわけじゃないのに。嫌われることも、特異的でみんなから浮くことも、群衆に埋もれてあの子から自分が見えなくなることも、どうしようもなく、怖いくせに。

ラソンで男の子のなかで一位に取ったなら、女の子二人に手を引かれて廊下を歩いたなら、背が高い違うクラスの男の子に抱かれたなら、うらやましさの目は全部自分に降りかかってくる。誕生日を薄っぺらくて形のある活字と絵文字のSNSと友達からのプレゼントで祝われて、関係ないと下を向いていても、きみはずっと、うらやましいんでしょう。見つめられていることにも、本当のあの娘にも全く気付けないまま、きみもきっと、大人になっていってしまうのだろう。